これまでの怖い話「山」
21:30 「下山」
私は、首の回りをヌルッとした何かがつつんだ感触に気がつきました・・・。
時刻は21時30分・・・。
懐中電灯が一つ消え、心細くなりながらゆっくり下山。
現代では考えられないくらい静かな空間。思えば鳥や虫の声さえも聞こえなかったような気がします。
その時、
・・・・・・??
私の背後から、何かヌルッとしたものが近づいてきてるのを感じました。
うまく例えられないけれど、いやな気配独特の、鳥肌が立つような気持ち悪さ。
誰かが背後に立っているような・・・
誰かが首筋の辺りを触っているような・・・
とたんに汗が吹き出しました。
・・・・
「どーしたん?」
私の異変に気がついたのか、先頭を行くこうじが気遣ってくれました。
「あのさ・・・・」
「おれの後ろ・・・何かいない?」
私はおそるおそる、聞いてみました。
ゆっくりと私の背後に目線をやり、私は見えるように後ろに光を当てます。
・・・・・・!!
とたんに恐怖と驚きが入り混じったような顔に変わりました。
・・・・・・・・・
5秒程の沈黙。お互い動けず、こうじは震えていました。私も恐怖が勝ってきて震えながら、泣いてしまいたくなりました。
そして先に動いたのは
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
こうじは泣きながら走りだしました。
「うわ!ちょ・・・ちょっと待って!!」
私はあわてて後を追いました。
なにせ懐中電灯は私が持っています。一人になったら危険です。
「待って!待って!落ち着けって!」
しばらく走った後、こうじはしゃがみこみ、ガタガタと震えていました。
「大丈夫!大丈夫だから!誰もいない!」
何が大丈夫なのかはわかりませんでしたが私はとりあえず落ち着かせようと声をかけ続けました。
・・・続く
コメント