これまでの「座敷童」
僕の出会った座敷童「危ないよ」
私はそれまで原付で移動してたのですが、不意に飛び出してきた車とぶつかり、転倒するという事故を起こしました。
その時は、原付はミラーが割れ、車も横の部分がベッコリとヘコむ、そこそこの事故でした。
ですが私は幸いにも、足を捻挫、後は擦り傷くらいですみました。よくもまぁ無事だったものです。
そして頭によぎったのはあの言葉。・・・あの女の子はこの事を言ってたのかなぁ…
そんな事を思っていました。
それから数日……足も大分良くなって、また仕事に復帰しました。
するとまた…
『危ない』
『危ないね』
どこからともなくこの声が聞こえてきました。姿は見えません。
私は恐ろしくなり、身震いをして、早退させて貰いました。
今度は自転車(原付は使い物にならなくなった)での帰り道…
私の背後から
キキーー!!
というブレーキ音。
ヒヤリ。としました。
私の背後から車が来ていて、うまく私を避けてすぐそばのガードレールにぶつかりました。
運転手は無事で、自力で出てきてどこかに電話をかけていました。警察か保険屋でしょう。どうやらよそ見だか何かだったみたいです。
無事ではありましたが、私は驚いて自転車に乗ったまま固まっていました…。
『危ないよ』
この言葉が耳に響きました…
『危ないよ…』
時折聞こえてくるこの声。私はこの言葉が凄く恐ろしく感じるようになりました。
女の子と『誰か』は毎日現れるわけでもなく、
時折出てきては、店内を動き回り、遊び回っています。
数日に一度『危ない…』と言ってきます。
その度、私は火傷をしたり自転車で転んだり商品の段ボールが崩れて来たりと、事故が発生しておりました。
そしてある時、
『危ないよ』
『危ない』
そう聞こえて来たときに、
『うるさい!お前がそんなこと言うから事故が起きるんだ!どっか行け!』そう心で思いました。・・・すると
女の子は寂しそうに(そう感じた)
『……バイバイ』
そう言って…見えなくなりました。
私の心の声が聞こえたのか
聞こえてないのかは分かりません。
今思えば、危険を教えてくれていたのかも知れないのに、あの声のせいで怖い思いをするんだと思ってしまったのです。
・・・それから先、その女の子を見る事も声を聞くことも出来ませんでした。
本当のところは分からないけれど申し訳ないなと思っていたのですが…。
座敷童「その後」
・・・それから暫くして、お店の休憩中、
『女の子』に関する話しをパートのオバサマ方に聞くことが出来ました……。
この話しは、女の子が出なく(見えなく)なって、聞いた話しです。
私は何事もなく、仕事をしていました。
ある時休憩中、私が何の気なしにパートの方と話していた時…
『何か不思議な女の子が倉庫にいたことが合ったんですよ~』
世間話的に話してみました。するとパートの方は驚いた様子で
『あぁ~!アンタも見えたんね~。私も見えた事あるんよ』
まさか同じように感じていたかがいるとは。…話してみるもんです。
彼女もそれなりに強いらしく、ハッキリとは見えないまでも気配と声は届いていたようです。
同じようにに
『危ない…』
と聞こえた時は、気になって家に帰ってみると軽いボヤになっていた事があったらしく、大事に至らなかったようです。
彼女は気になって、色々と調べ、聞いたようでした。
覚えてる範囲で書きたいと思います。
『この土地はずっと前は大地主で、小さいけれど商売をしてたんよ。』
『けれど悪い奴に騙されて潰れちゃったらしいのね。』
『だけど家族で頑張って、立て直したんよ』
『でもねぇ…悪い事は続くもんで、戦争に巻き込まれて…大火事が起きたんよね』
私は凄く気になってた事を聞いてみました。
『家族って…兄弟か姉妹がいたんですかね?』
彼女は凄く驚いてたようでした。
『アンタよく知ってるねぇ。女の子と年の近い弟がいたようだよ』
そこまで調べてる彼女も凄いと思いましたが…
点が線に繋がった時でもありました。
『誰か』は弟だった…思えば一番イタズラしてたのも、なんとなくうるさかったのも『弟』だったんだ。と。
恐らく小さい子だった為か私の力が足りなかった為か、見えなかったんだ…と。
『その子らは商売が好きだったようでねぇ、よく手伝ってたんだって。』
『だから私はここで商売するのをお手伝いしてくれてる、座敷わらしのようだねぇと思ったんよ。』
私は泣きそうになるのをこらえました。
ありがとう。
ごめんね。
頑張るからね。
お手伝いしてね。
ごめんね。
ありがとう。
初めて会った倉庫の隅を眺め、心で思いました。
きっと、今もあそこで遊んでいるので花かなぁ・・・と思います。
……終わり。
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