これまでの「夜の学校」
「理科室での出来事」
「理科室」
なんとなく不気味なそのプレートは、この後におこる事を物語っていたのかもしれません。
グッ・・・
とゆっくりと力を入れて扉を開けます・・・。
思った通り、今度はカギは閉まっていないようです。
ゆっくりと入ろうとしたとき・・・
「コツ・・・コツ・・・」
と、また見回りが来たような音がしてきました・・・。
やばい。
見つかるかも・・・。
とっさに少年は理科室に入り、机の下に隠れました。
「コツ・・・コツ・・・」
どちらの方向から聞こえてくるかは分かりませんが、確実に音は近付いてきます・・・。
「コツ・・・コツ・・・コツ・・・」
足音はゆっくり近づいてきます。
少年は息を潜め、小さい体をギュッと小さくしました。
みつかってしまうと、どんなに怒られることでしょう。
両親どころか最悪警察に捕まってしまうかもしれません。
それが怖くて廊下にみえる懐中電灯の明かりを一点に見ていました。
・・・やがて足音は理科室の前まで来ました。
「・・・・・・・・・」
小さな声で何か話しているようです。
小さすぎる声で、何を話しているかは聞こえません。
少年はせめて誰なのか正体を探ろうと目を凝らしました。
影が2つ見えます。
どうやら、宿直のおじさんと教頭らしき人物のようだと判断しました。
「・・・・・・・・・」
何かぼそぼそと話しながら通り過ぎ、階段を下りていく音が聞こえました。
少年は
「スーーーっハーーーっ」
と一度深呼吸をしました。
なんとかやり過ごしました。ただ、いつまた引き返してくるか分かりません。ですのでこれまで以上に緊張感を持たないといけません。
さて、今度は急いで理科室の証拠を取り、ばれないように脱出しないといけません。
もぞもぞと机の下から出ます。
ふいに
月の明かりか明るくなりました。
少年は理科室の後ろの方にある棚を向いて(ビーカーとかが置いてある)
立っていたのですが、窓ガラスに・・・
少年が立っていました。
そう。
つまりは自分が自分を見ていたのです。ガラスは背中が映っているはずなのに。
窓ガラスに映る自分の後ろに、もう一人。
服も同じ 背格好も同じ。
今、この理科室には確実に少年一人しかいないはずなのに。
金縛りにあったかのように固まってしまった少年は、どうしようもなく怖いはずなのにガラスに映った少年から目が離せませんでした。
カガミの中の少年はくるりと振り返り、黒板の方へ歩き、
スーーーと消えていきました。
バッと振り返り黒板を見ましたが誰もいません。
静かなままです。
少年はあっけに取られました。
もちろん見間違いかもしれませんし、何かの間違いかもしれません。何かがそれっぽく映ったのかもしれません。
なんとなく現実感のないままでしたが、少年は好奇心からか黒板の裏・・・
そう、理科準備室に行ってみたくなりました。
誘われていたのかもしれません。
暗いので、時々自分の持っている懐中電灯をつけながらゆっくり進みます。当然周りに気を配りながら。
カチャリ・・・
音がしないよう、ドアを開け、入ってみました。
・・・当たり前ですが誰もいません。
何故だか急に額から汗が噴き出してきました。
なんだかすごく嫌な予感がして一歩入った所で止めました。
少年はそのまま回れ右。
とっととビーカーでも持って帰ろう。
そう思った時・・・
棚のガラスには、少年が映っていました。
なんとなく、さっきとは違う雰囲気に感じました。
「入ってこい」
そう、言っているみたいでした。
つづく
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